情報子の誕生
- もしもアインシュタインが翻訳家だったら 〈第III部〉情報量が翻訳の宇宙を支配する (夢叶舎)
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品詞を手がかりにすると、言語によって品詞が異なるので、翻訳ではそれが大きな壁になります。
また、副詞と言っても、あまりにも機能のちがうものが同じ副詞としてひとつにまとめられています。
そこで、出てきたのが情報子という考え方です。
たとえば、「へそで茶をわかす」を品詞に分解すると、名詞+助詞+名詞+助詞+動詞になりますが、意味を理解するうえでは全体でひとつの動詞として捉える方が好都合です。
take outなどにしても、情報としては全体として動詞と捉えなくては意味がありません。
私が某翻訳会社の社長にこの構想を話したとき、アメリカでも異なる言語間の対応を品詞ではなく、もっと別のかたまりとして捉える考え方が生まれていると聞きました。
たとえば、for your safety は「危険ですから」に対応し、それでこそ「窓から手や顔を出さないでください」に続くことができる。
この for your safety や「危険ですから」というかたまり。このようなかたまりが文の中でよく使われます。文を展開するにあたって何らかの背景となるものです。
文の背景となる要素です。
日本語には形容詞と形容動詞の区別があります。この区別はしかし、情報としては無意味で、外国人に日本語を教えるときは、i-adjective、na-adjective のような捉え方をします。
名詞の要素、動詞の要素、形容詞の要素、この3つは比較的わかりやすいと思います。
ただ、形容詞には多少、考えるべき問題があります。「子ども用の椅子」は名詞+助詞+名詞ですが、「子ども用の」が「椅子」にかかっているわけで、形容詞的な働きをしています。すると、情報としては「形容詞」とみなすことができます。「の」を含めて「子ども用の」が形容詞になります。また「子ども用の椅子」は全体として名詞として捉えることができます。
同じ形容詞でも、日本語の形容詞は単に名詞にかかることもあれば、動詞のように活用することもあります。「美しい花」の「美しい」は形容詞ですが、「花は美しい」の「美しい」は英語の is beautiful に相当し、情報としては述語で、むしろ動詞扱いする方が好都合ではないかと思われます。
ここで、名詞も動詞も形容詞もけっして文法上の分類とはけっして同じものではないので、詞ではなく子を使う考えが生まれました。名子、動子、形容子です。形容はのちに属子と呼ぶことにしました。(つづく)
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